東野圭吾さんの作品です。
東野圭吾さんというと、ミステリー作家のイメージが強いと思いますが、SFや、ファンタジーテイストの作品も多く、本作もその系譜にある名作です。
比較的善良な人間が主人公であることが多い東野圭吾作品において、本作の主人公・玲斗は、やや異色かなという気がします。主人公に対して、共感できるか、さらには好きになれるかが、作品に対する愛着度合いを分けるかもしれません。
ファンタジー小説ではありますが、さすが当代一の作家さんということもあって、ミステリー小説さながらの伏線回収がバンバン決まっていく後半は爽快感さえあります。
というわけで、東野圭吾さんファンじゃなくても、ファンタジーの切り口から入って楽しめる作品だと思います。
あと、あらためて思うのは、東野圭吾作品の完成度の高さですね。プロットが緻密に作り込まれていて、崩壊や論理破綻がまずないですからね。安心して入り込める作品です。
まあ、薬中でラリって書いていたというフィリップディックを引き合いに出すのもどうかと思いますが、いわゆる名作と呼ばれる作品や、有名著者の作品にも、あれ?と思うような部分ってありますからね。レイモンドチャンドラーも、プロットという部分に関しては割と雑だったりもしますし。
そう考えると、東野圭吾さんの偉大さって、一貫して崩れない緻密なプロットと、それをスタンダード化させたことにあるんじゃないかなと思います。こういったファンタジー作品であっても、しっかりとそのスタンスを徹底して、ジャンルに逃げないというあたりは、さすがだなと思います。

