標的走路

大沢在昌作品といえば、新宿鮫シリーズが有名ですが・・失踪人調査人・佐久間公シリーズも同じくらい好きです。その中での第一作は、1980年代の東京&軽井沢を舞台にしたこの作品です。

描写の数々に時代を感じさせ、昔懐かしの火曜サスペンスで脳内再生されるのが面白いです。

新宿鮫シリーズの鮫島と比較すると、腕っ節が強いわけではないという点も、サスペンス的要素を増している感があります。

当時の大沢在昌さんは、まだそこまでの売れっ子というわけではなかったみたいですが、すでに売れっ子作家になってからの作品と遜色ない筆力で書かれています。そう考えると、売れるのって本当にタイミングなんだなと思うと同時に、ずっと書き続けることが大事なんだなと感じさせられますね。

もっとも、ずっとこういった作品を書き続けていたからこそ、万年初版作家と揶揄されながらも、チャンスを得続けることができたのかもしれませんが。

いずれにせよ、大沢在昌作品全般にいえることですが、会話のやりとりが最強に面白くテンポもいいので、没入感があります。本を読むのが好きじゃない人、小説はあまり読まない人でも楽しめるので、新宿鮫シリーズとセットで読んでみるといいと思います。個人的には、標的走路は大沢在昌エントリーとしてはうってつけかなと思っています。