朝井リョウさんの作品です。映画化とかもされていますね。なぜか未読のまま積ん読していたので、出張の移動時に気合い読みしました。
大まかな内容としては、多様性への理解が広まりつつある現代社会において、それでもなおスポットを浴びることのない特殊性癖を持つ人たちの生き方に関する内容です。
宗教やLGBTへの理解云々というのは、賛否ありながらも、受け入れる方向へと社会が動いていますが、それだけじゃないよねということを考えさせられます。たとえば不登校YouTuberのゆたぼんをモデルにした人物の主張なんかは、その一例と言えるでしょう。
ともあれ、多様性云々という言葉は、ここ数年で急にスポットを浴びるようになった感がありますが、実態としては割と昔からあったような気がしています。たとえば、私の大学時代なんかは、それについて考えさせられる機会・・というか悩む機会が多々ありましたからね。世の中には一定数、身の安全が保証されているならば、何に対してもいちいち反発するひねくれ者っています。今思えば、そういうお子ちゃま思考の人間が多かっただけなのかもしれませんが・・。
こういった個人的な経験から、深い考えもなく、あらゆるマイノリティーの意見に平等に耳を傾け、理解し、受け入れることが多様性への配慮だと勘違いしている人たちに違和感を覚えています。
もちろん、社会で生きていく上で、LGBTの方々は、そもそも選択肢がないわけですから、そこに対しての理解は深め、配慮してあげる必要はあると思います。その一方で、選択可能な価値観や概念に関しては、拒絶されているところに出向いていって、権利を認めろだの何だのとがなり立てるのは違うんじゃないの?と思うわけです。サッカー部の人間が野球をしたくなったならば、サッカー部の他の人間に無理矢理野球をやらせようとするのではなく、サッカー部を辞めて野球部に入れといった感じです。
どういうわけか、昨今の日本って事なかれ主義が悪い方向に出ているようで・・サッカー部で野球をやることが、多様性への理解と歩み寄りと思い込んでいる人が一定数います。その結果、あらゆるコミュニティやトライブの均質化が進んでいて、形骸化しているという実態があります。そして本来の目的そっちのけで、群れること、組織としての規模を大きくしそれを保つことが目的化しているなんてことも多々あるわけで・・ONE PIECE的な世界観になっているんですね。そしてあいにく、そういう浅はかで幼稚な人ほど、SNS上でよく喋る傾向にある。なんか、こう、パンクというか反体制の在り方が違うんだよなあという気がします。世の中を変えるために声を上げているというよりは、他責思考を発露しているだけみたいな。
こういうモヤモヤ感を抱きながら生きている人にとって、本作は、視野を広げてくれる内容かなと思っています。映画版もあるので、小説を読むのが苦手という人は、そちらでもいいかもしれません。

