ロング・グッドバイ

レイモンド・チャンドラーの最高傑作とも呼ばれる「ロング・グッドバイ」の村上春樹翻訳バージョンです。

清水俊二バージョンを既読でしたが、あらためてこちらも読んでみました。

先に言っておくと、私は村上春樹ファンなので、若干のひいき目もありますが、こちらのバージョンの方がより作品を楽しむことができました。

レイモンド・チャンドラーの作品は、フィリップ・ディックほどじゃないですが、プロットの崩壊みたいなものが散見します。これは、雑誌連載された作品をつなぎ合わせて長編に仕上げているがゆえに発生する現象らしいです。当時の出版事情の大らかさというか、いい加減さを感じさせるエピソードですよね。

ともあれ、本作に関しては、その手のプロットの崩壊めいた様子はなく、安定飛行の作品に仕上がっています。

ただ、テリー・レノックスに関しては、果たしてそこまでの人間的な魅力を感じる要素があるのかと、あらためて読んでもわからないままでした。(気分良く酒を酌み交わせば俺たちマブダチ!というのがアメリカの男の友情なんだよ、というノリなのかもしれませんが)

ちなみに、ネットミームにもなっている村上春樹構文なるものがありますが、その元祖というか、影響を感じさせるのがチャンドラーの文章です。動作に関する描写を二度繰り返すあたりなんかは、まさに!といった感じです。(村上春樹翻訳だからというわけではありません)

ともあれ、村上春樹作品も、レイモンド・チャンドラー作品も、有名だけどまだ読んだことがない、どれから読めばいいかわからない、読もうとしたけど挫折したという方は、この本から入ると、まとめていけるのでいいんじゃないかなと思っています。

なお、ミステリーというカテゴリに分類されているようですが、ミステリー的な要素は希薄で、どちらかというと探偵もののサスペンスといった感じですね。レイモンド・チャンドラー作品は、基本それです。

あと余談ですが、マーロウのプリン、美味しいです。創業者の方が、レイモンド・チャンドラーの作品が好きで、主人公のフィリップ・マーロウから名前を取ったみたいですね。