THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略

ニック・マジューリの著書で、児島修さんが翻訳しています。

前作「JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則」が良い本で、なおかつベストセラーになっているので、こちらも期待して読みました。より実践的という触れ込みだったので、自分で学んで実践することはもちろん、クライアントにもお勧めできれば良いな・・と思いつつ。

まず、先にお話ししておくと、まだ著者が到達できていないゾーンに関しては、一般論的な、解像度の粗い話が含まれていてちょっと残念でした。(具体的にはレベル5〜6のフェーズ)全てを語る上で、ここまで盛り込む必要があるのは理解出来ますが、そのフレームワークを守るために無理をしたせいで、全体のクオリティが落ちてしまったのは残念です。

ともあれ、レベル1〜4に関しては、具体的かつ実践的で、学びも多いので、特に起業家の方々にはお勧めできると思います。とりわけレベル3→レベル4へのステップアップのフェーズの話は、個人的に跳ね返され、挫折された部分でもあるので、大きな学びとなりました。

あと、やはり一部のデータ分析に粗いというか、雑というか、残念な部分があるので正直なところ、前書ほどの評価は与えられないな・・といったところですね。とりわけ高齢者の資産形成の背景に関して、考察が甘いというか、ステレオタイプな一般論に則ってしまっていて実態が見えていないなと感じました。いわゆる「ブロガーだな」といった印象の分析です。たぶん、投資のプロの方々も、すぐにそれに気付くでしょうし、それゆえに本書の評価もそれほど高くしないんじゃないかと思います。なんなら、前書まで友引で評価を落としそうなレベルの内容なので。

いずれにせよ、わからないことを「わからない」と言えないのって、やっぱりよろしくないなあと思ったり。児島修さんの翻訳が秀逸であるがゆえに、ことさらに、その理論のぬるさが露見しているなあといった感じです。ともあれ206ページまでは紛れもなく名著なので、ひとまずそこまでしっかりと読み込めば良いんじゃないかなと思います。